【アニメで英語】進撃の巨人シーズン3 第18話「白夜」

進撃の巨人のシーズン3の第18話からです。

名ゼリフのオンパレードで、まるまる抜き出そうかと思った場面もいくつかあるのですが、あくまで学習用と割り切って短文に分割しました。

もっとも、この回で面白いのは、フロックの「巨人を滅ぼすことができるのは悪魔だけだ!」という一連の長ゼリフのシーン。

これ、結構重いシーンだと思うのですが、外国人のリアクション動画を見ると、結構な数の人たちがキョトンとしていて面白いです。多くの外国人視聴者の心をとらえていない。

これはおそらく、あくまで個人的な推測ですが、この「悪魔」という言葉は字幕(配給会社ごとに異なる)によってはDevilだったりDemonだったりするのですが、キリスト教圏の人達(特に保守的な地域の人)にとっては、悪魔が人間とはまったく別物で、絶対「悪」の存在なんだと思います。

だから、巨人を倒す「正義」と上手く結びつかないんじゃないかと思います。

もちろん、理解している外国人もいるし、「悪魔のような人間」と言った比喩が通じないわけでもないのでしょうが、ただ、基本的に「悪魔」は「悪い」存在なんだと思います。

だから、非常な判断を下したエルヴィン=悪魔のような人間という比喩がまったく通じない人がたくさんいて、「悪魔を蘇らせるのが俺の使命」なんて言われると、「???、いきなり何言ってんだ?」「こいつは完全に狂っちまったんだな」「エルヴィンが何で悪魔なの?」みたいな感想を持つんだと思います。

英語が話せるようになれば相手と意志疎通ができると思ったら大間違いで、世界観、価値観、道徳観がまったく違うので、直訳どころか、意訳しても、こちらの意図が全く伝わらない場面があるという良い例だと思います(というかそんな場面ばっかり)。

外国人とのコミュニケーションの難しさの本質はここにある気がします。

1.ハンジ「ありがとう。覚悟が出来てて助かるよ」
Thanks. It helps that you are prepared for this.

こういうのがとっさにパッと出てくるようになりたいですね。何でもThank youで済ませる病の患者としては。

2.ハンジ「私は条件がそろったとは思はない」
I don’t think all conditions for that have been met.

「条件が揃うの”揃う”って英語でなんて言うの!?」ってなりますが、あっさりmeetでいいと。

3.ハンジ「今はリヴァイやあちらの状況が分からない。それを確認する時間も余裕もないと思うね」
We don’t know the situation with Levi and the other side. Neither do we have the time to go confirm it ourselves.

neither doってこんな使い方するんですね。まあ、言われてみれば違和感はないですけど、And we don’t have the time…で問題ないと思いますけどね・・・

4.ジャン「わからないものはわからないとフタをして、この先どうやったら俺たちは巨人に勝てるんですか」
If we back down because of not knowing something, down the line, can we ever hope to beat the Titans?
(If we back down from the chance to cure our ignorance, then what hope do we have of beating Titans down the road.)

これは上手い訳だと思います。

辞書を引くと、back downは「撤回する」「譲歩する」とのことですが、イメージ的には「ビビって後ずさりする」みたいな感じなんでしょうね。

down the lineは「後々」「この先」という意味。

everはat any timeという英英辞典の説明が一番シンプルで分かりやすい。つまり、「どこかの時点で」の意味で、未来なら「いつかどこかで」の意味。

吹き替え版の方が直訳に近い。そして、両方ともback downを使っているので、こういう場面こそがまさに正しい使い方なんでしょうね。

「どうやったら」も、倒す手段・方法を聞いているわけではなく、「いつか倒せるようになるのか」という意味だと思うので、hope to beat Titansが正確な訳なんでしょうね。

5.ジャン「俺たちが敵をはかり知れるようになるのはいつですか」
When are we going to know all there is about the enemy?

これは意訳ですが、all there isという言い回しは結構頻出。there is を無視してallだと思えばいいだけ。

6.ハンジ「私の判断だ。君のは判断材料。」
The decision is mine. You were just a factor.

that’s my decisionというよりも「自分」に重きが置かれてる気がする。まさにこの場面のような場面で使う表現。「この決定の責任は全て私にある」くらいのニュアンスがあると思います。

7.リヴァイ「エルヴィンが生きている、その可能性が頭にあったからだ」
I was thinking about how Ervin could still be alive.

この英訳は難しいですよね。日本語だとこういう場合も「可能性」という言葉使うけど、英語でthink about possibilityなんて言ってしまうと、エルヴィンが生きている可能性が、30%なのか50%なのか考えていた、まさに「可能性」の計算をしていたとなりかねない。しかし、実際に頭の中にあったのは、「エルヴィンが何とかしてまだ生きてるんじゃないか」であって、可能性が何%かを計算していたわけではないですよね。

だから、この英語でいいんだと思います。

8.フロック「お前らばっかりがつらいとおもうなよな」
Don’t think you are the only ones who had it tough.
(Don’t act like you are the only one who suffering.)

have it toughはひどい目に合う。

9.フロック「あの壁の向こう側に生きてる兵士はもう誰もいねえ」
On the other side of the wall, there is not a single living soldier.
(On the other side of the wall, there is not a single soldier left alive.)

living soldierでもいいのでしょうけど、吹き替え版では、left alive「生き残った」が使われています。

日本語で考えた時には「生きてる奴なんて一人もいない」と「生き残った奴なんて一人もいない」はどっちでもいいですけどね。

10.フロック「この人にはまだ地獄が必要なんじゃないかって」
I thought to myself that he ought to taste more of this hell.

think to oneselfで「心の中で思う」。

これは直訳が通じない場面で、「地獄を必要」をhe needs more of this hellなんてすると完全に意味不明。「地獄を必要」は別に「エルヴィンが地獄を必要としている」わけではなく、「地獄にいてもらわなくてはいけない」「地獄を味わうべきだ」の意味だと思うので、ought to/shouldかつtasteで正解だと思います。

11.フロック「悪魔を蘇らせる、それが俺の使命だったんだ。それがおめおめと生き残っちまった俺の意味なんだよ。」
And if I can bring back the devil, that must be my mission in life. That has to be why I survived like a coward when everyone else died.

あっさりとbring backで「蘇らせる」を訳していて、確かにそれでいいんでしょうね。

12.ハンジ「誰にだっていつかは別れる日が来る」
No matter who it is, there comes a day to say farewell

教科書に出てきそうな例文。

13.リヴァイ「こいつを許してやってくれないか」
Do you think…you can forgive him?

これすごいかっこいい訳ですね。こういう言い回しがあるんですかね。まさにこの場面の「許してやってくれないか」といった、少し遠回しのぶん、あくまで上からなんだけど、丁寧で、頼むような命令形なんだと思います。

どっかで使いたい。

14.リヴァイ「こいつは悪魔になるしかなかった。」
He had no choice but to become a devil.

これも教科書に出てきそうな例文。

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